放射線科医・MRI専門家の高原太郎個人ブログ

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医学英単語 コメディカルにこそ必要

      2017/04/24

医学英単語。苦手意識のある学生は多いのですが、医学英単語がわからないと、病院で同じチームの同格の仲間として認めてもらい難い現状があります。これを痛切に感じているので、東海大学医用生体工学科(臨床工学技士を養成)で私が教鞭をとる科目の試験には、すべて英単語を20%以上の配点で出題しています。写真は3年次の学生への出題。意図をよく理解してくれてビシッと解答してくれる学生。とてもうれしく思います。

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僕が高校を卒業した時、ほとんどの科目で落ちこぼれでした。英語はとくにひどく、偏差値は40ぐらい。共通一次(現在のセンター入試)の英語の点数は、200点満点中なんと80点ほどでした。だから英語が嫌いな人の気持ち、「英語はとにかくダメ」という先入観はよくわかります。英語がキライということと、しかし、病院で業界用語で意思疎通することは全く次元の異なることです。医学英単語の意味を理解し、話すことができてはじめて、医師から頼もしく思われ、本当の仲間としてみてもらえます(具体例を末尾に書きますね)。そういう技師を養成したくて、いつも学生を励ましています。

試験では、表やSchema*を描くこと、またロジックについてとくに重視しています。なるべく英単語も書いてもらっています。  (*Schema: 英語ではスキーマと発音します。日本では普通シェーマといいます。図や描画のこと)

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・・・というわけで、学生はなかなか大変だと思いますが、「東海大学の卒業生は使える」と思ってもらえるように、引き続き育成したいと思います。写真は、試験直前に、出題内容の一部を開示し、再度勉強をしてもらっているところ。評価をすることも試験の目的ですが、最大効率で超集中できる試験直前のこの時間も「教育」に使わせてもらっています。

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なお、2年後に、自分が大学に合格した時の英語の成績は、180点ほどでした。この奇跡がなぜ起こったのか。機会のあるときにまた書きたいと思います。透明な気持ちになり、確実な履行を繰り返せれば、どの人にも成果は訪れると今は信じています。

具体例

たとえば以下のような会話をしたとします。

[A]
・pleural effusionが増えてpassive atelectasisの領域がだいぶ増えちゃったんだよね。
・この患者さんはanemiaが強くて、明らかに鉄欠だったんで調べたらひどいヘモだったんだよ。

[B]
・胸水が増えてしまって、(胸水に押される形で肺が潰れる)受動的な無気肺の領域が増えちゃったんだよね → 呼吸状態が悪化することを話している。多分次は、胸水抜こうかとか、電解質大丈夫かなという話に続いていく。
・この患者さんは貧血の程度が強くて、鉄欠乏もあったんだ。ということは、どこかで慢性持続的に失血している可能性が高いので、調べたらひどい痔を患っていたんだよね。→ ヘモは hemorroid(痔)のことで、割と隠語的に使います。出血することを「ヘモる」という時もあります。

普通は[A]で話しているのですが、話がわからない人がいたら [B]に切り替えます。しかし患者急変の際や、話が長くなる時は、ひとつひとつ気を遣えなくなりますね。その場合、話がわからない人は、ただ「なんか話しているな」と傍観するだけの人になってしまいます。逆に、会話にリアルタイムで入れば、技師としての知識が生きて、医師にアドバイスをしたり、アドバイスを求められたりするような関係になります。

切り替える必要がなければ本当の仲間(プロスタッフ)、切り替える必要があれば・・・残念だけど格下の仲間(アシスタント)です。多くの医師が心のなかで思っていることなのですが、なかなかオモテに出して話しにくいので、ぜひこのことを分かって下さい。もちろん、専門医と研修医、先輩看護師と研修医の関係でも同じです。区別例外差別なく、どの業界においても、共通して言えることだと思います。

まとめます。あなたが勉強しようとするのは、「(苦手な)英単語」ではなくて、「スタッフに必要とされる業界用語」です。あなたもプロになってみませんか。

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 - 81 医学一般, その他

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