リーフのバッテリー劣化は、「空冷」方式に原因があった
電気自動車(EV)を購入しようとするときに、バッテリーの劣化が心配になりますね。
とくにリーフのバッテリーの劣化が目立ちます。テスラのバッテリーは驚異的に劣化しません。しかし、リーフのことが最初に話題になったので、「電気自動車はバッテリーが劣化するから買うと損だ」というヘンな常識が形成されてしまいました。
空冷(リーフ)と水冷(テスラ)で、圧倒的に劣化率が違う
まずこの表をみてください。これは、バッテリーを一定の温度に保ち、1年後にどの程度劣化するかを見たものです。
(Buttery Universityのページから引用ー教えてくださった池田さんありがとうございます)
バッテリーを1年間40度に保った場合、充電率が40%で置いておくと85%に減ってしまい、充電率が100%で置いておくとなんと65%に減ってしまうのです。これは衝撃的ですね。
日本の夏は最近とみに暑く、何も対策をしなければ、バッテリー温度は数ヶ月もの間、40度内外となってしまいます。充電しているときにはさらに高温になります。だから一年で5%も減ってしまうリーフもあるのです。
テスラのバッテリーは、下のような構造をしていて、水冷(クーラントで冷やす方式)です。高温にならないように常に温度管理をしています。駐車中にも管理されています。そのため、冷却の維持費はかかるのですが、ガソリン車のガソリン代よりは遥かに少ない金額ですみます。この僅かな出費と引き換えに、何百万もする車(バッテリー)の寿命を大幅に伸ばしているのです。
ガソリン車でも、10万キロも走った中古車は、燃費が悪化します。新車のカタログ値と同じということはあり得ません。そしたら「満タンで走れる航続距離」は減ります。これほどまでにバッテリー保持率が良いなら、ガソリン車と同じことですよね。
欧州では平均で毎年2万キロぐらい走りますから、4〜5年落ちで10万キロの車はいくらでもあります。それが普通の値段で売買されています。日本では10万キロ走行した車は二束三文ですが、欧州ではかなりの価値があります。それがあちらの常識です。
であれば、10万キロのテスラ中古車を安く買って、20万キロまで走っても良いですよね。燃費がものすごく良いですから。(リンク)
もともと電気自動車は部品が少なく、そのぶん、交換する部品も少ないので、その費用も発生しないことが、理論的にも推察できます。ちなみにモーターは80万キロぐらい持つことが分かっていて、これはエンジンより長寿命です。
「うそー」って思う人いるでしょう。
でもね、電気自動車(EV)って、クラッチもないこと、ご存知です?
モーターと車軸は接触していないんです。そしたら、クラッチの摩耗とか交換は発生しないですよね。それがないんですから。
「部品がないと、交換も生じない」ひとつの象徴的な例です。ちなみに、変速装置もないです。常に1速。それで0km/h〜250km/hまでカバーしています。
今までの車は、変速の数が多いほど高級。レクサスとかベンツとか、9速ATだったりします。
たくさんあるほどスムースに「次のギアにつなぐ」ことができて、燃費もいい!
数が多いほうがすごい!
・・・今まではそうだったのですが、、
電気自動車は「変速の必要がゼロ」「つなぐ必要がゼロ」究極にスムース。
つまり、こうなんです。
2速以上の車は、多ければ多いほどスムースにつながり、変速ショックが減るので高級。
1速は、変速しないので、変速ショックはゼロだから、最高に高級(スムース)。
・・・これはまた別の機会に書きますね。
↓こちらもお読みください。
リーフは早く水冷にすべき
リーフは日本を代表する電気自動車(EV)です。この車のバッテリー劣化が激しいことにより、皆が「電気自動車はすべてバッテリーが激しく劣化する」と勘違いしてしまう、とても残念な現象が起こっています。
昨年の猛暑では、ニッサンの急速充電設備に行って充電をしても、ものすごくゆっくりしか充電できない現象が報告されました(注:バッテリー温度が高温になりすぎると、保護回路が働いて充電速度を落とす)。
日本の夏は暑いのですから、リーフの次期バージョンは水冷以外ないと思います。ニッサンには頑張って欲しいです。
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