放射線科医・MRI専門家の高原太郎個人ブログ

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共同住宅でもOKの電気自動車「日産ノート e-POWER」はみんな欲しいはず (2) リーフ・テスラとの驚愕の比較データ

      2018/01/03

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Section 2:ヲタク編

はい、ところ変わってこちらは「ヲタク編」です。こちらでは、なんと

テスラ

リーフ

新型ノート e-POWER

 

の実測データを出しちゃいます! ・・・ 趣味が高じて、だんだんホントの自動車レポートみたくなってきました(^^;)

ノート e-POWERのゼロスタートは、Pure EVのリーフとほぼ同じ加速度

いきなりです。いきなりのすごさでございます!
0→60km/hに達するまでの加速データをとったら、なんと「ノート e-POWER」と「リーフ」は、ほとんど同じ加速度だったのです。そして最大加速度は0.4Gに達します。これは速い! 衝撃のデータはこちら↓。

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アクセルを踏んでからわずか0.3秒で最大加速を始めます。この急峻な立ち上がりは、エンジンでは起こり得ないことです。

そのほかにも、いろいろな考察ができますね。「ノート e-POWER」の車重は1220kg(メダリスト)、これに比べて「リーフ」は1450kgほどです。「リーフ」は大量の電池(30kWhぶん)を搭載しているので重いわけです。車重の差は230kg。

モーターの型式・定格出力(持続的に出し続けられる出力)・最大出力はすべて同じですから、軽量の「ノートe-POWER」がもし同じパワーをだしたら「リーフ」よりも速く加速しますが、日産のエンジニアは、ちょうど車重230キロ少ないだけモーターの出力(つまり電流)を下げて、それにあわせてエンジンの大きさ(小さくできる限界)を決定した、ということです。これには驚きました。

個人的にはこのデータには、ボクは納得できない感じなんです。というのも、この「0→60km/h」加速ではほぼ同じでも、中間加速時は「リーフ」のほうがうんと良い感じだったからです。ボクは素人さんなので、テストコースでの計測はできません。だからこの辺りは正確には測りにくいです(自動車雑誌のテストに期待)。しかしこの感覚が正しいとしたら、「リーフ」は車格が上ですからある程度は「ノート e-POWER」を上回る必要があり、そういう制御をしているのだと思います。また「リーフ」はPure EVですから、バシッとアクセルを踏んだ時の応答はより良いのかもれしれません。「ノート e-POWER」が電気モーターであるとしても予備の電気(バッテリー)は少ないし、バックアップのエンジンが応答するにはすこしタイムラグがあるからだと思います。それにしても、ほぼ同じような加速度が得られるということには本当に驚きました。ニッサンがいかにこの車に本気なのか、賭けているのかが分かります。

ちなみに、テスラ(P85D、インセインモード)の加速は、重力加速度と同等です。これは、ビルの上から飛び降りたときと同じ加速をするということです。これが1秒間続きます。つまり1秒後には、このクルマは5m先に(2台先の車の位置まで)、2秒後にはなんと20m先まで移動するわけです(リンク動画)。まさにワープ。詳しく見たい人は、さらにすごいP90Dの性能、「新型テスラ・モデルSは自由落下より速く加速する」をどうぞ)。まぁこれはこれですごいですね。

(なお、「リーフ」には、Pure EVならではの、卓越した静粛性があるのは重要です)

減速(回生)がすごい

では、もう一つの衝撃、回生(減速)時の減速Gのグラフです。

テスラはもともと回生力が強く、2012年に「ワンペダルドライビング」の先鞭をつけました。テスラはその後(おそらくこれに関連したことも含む)すべての特許を、電気自動車(EV)の普及のために公開しました。BMW i3がこれに続き、回生が強いワンペダルドライビングを達成しました。テスラは最近、Version 8.0(日本では2016年10月末公開)のソフトウエアバージョンアップにおいて、定評のある強い回生力を、さらに強くしました(回生力はなんと60kWに達します)。この実験は、このv8.0のソフトウエア・アップデートが済んでいるテスラで行っています。

さて、「ノート e-POWER」は、「Sモード」や「Ecoモード」を選択すると強い回生力が得られます。時速60km/hからアクセルペダルを離したときの減速Gのデータが以下のようです。

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上のグラフで分かる通り、「ノート e-POWER(Sモード)」の減速Gはとても強くて、最大0.2G程度となっています。これは通常のガソリンエンジンなら、1速でエンジンブレーキをかけたのに近い強さ。だからアクセルペダルを離すだけで、相当な減速ができるんですね。

テスラも多分ver.7.0のときは、0.2G程度だったのだと思います。だからノートはこれをよく研究して作ったのでしょう。そしてテスラは最近のv.8.0のバージョンアップで0.25G程度まで高まりました。

今回試乗させていただいたリーフには、回生力の強いモード(ブレーキモード)が無かったので、しかたなく、比較的回生の強いモード(Ecoモード)で計測しました。これだと、普通のAT車のエンジンブレーキより少し強い程度であり、別にフットブレーキが必要になります。ちなみに、プリウスにしてもリーフにしても、この「フットブレーキのときに(も)回生する」機能を作るのに本当に苦労しました。「従来(摩擦)型フットブレーキ」と、「フットブレーキに紐付けた回生ブレーキ」を、巧妙にブレンドしなくてはならかなったからです。当然構造は複雑で、特許でガチガチに守られている技術。しかし、こんな複雑な制御は全く意味がなくなりました。もっとずっとシンプルな方法ー「モーターの回生力を強くして、ワンペダルでブレーキする」でほとんど解決できるからです。日産自ら、自分のリーフに積んでいた技術を捨てました。Less is More。この意味でも、トヨタ型の、小さなモーター(小さな回生力)のソリューションは、コストがかかり重たくなるだけで、良い方法と言えなくなったわけなのです。

強い回生力は圧倒的に支持されている

この「回生力の強さ」(ワンペダルドライビング)については、以下のように評価しないという論評もありました。

「ちなみに回生をたくさん取っているテスラやBMWのi3はアクセル戻すだけでほぼ停止まで減速する半面、ヘタクソの運転手だと常時前後方向のGが出てしまい、ゲロ吐きそうになります。本来ならブレーキ踏んだだけ回生すべきですけれど、この技術は非常に高度で、テスラやBMWじゃ無理」

私の実感とは全く逆の、この意見について不思議に思い、テスラのユーザーにアンケートしたことがあります。そうしたら以下のように圧倒的な支持を得ていたのです。FaceBookの投票機能を利用していますから、インチキなしです。

テスラには、「強い回生モード」と「(ガソリンエンジンと同じぐらいの)弱い回生モード」がありますが、回答した59名のうち、実に56名が「強い回生モード」を選んでいます。

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おまけに、「弱い」に投票した3名中のお一人は、その後「自分は、『家族がなれていないので弱い回生モードを使っている』とばかり思い、いつも運転が終わるときに『弱い』を選択していました。それで『弱い』に投票したのですが、改めて皆に聞いてみると、家族全員が『強い』にしていたんです。」ということで、変更されました。最初は慣れていなくても、そのうち強い回生を選ぶんです。結果的に59名中57名。実に、

97%の人が強い回生モードを選択している

 

ということが分かりました(ちなみに参照数88名のうち、59名が回答しましたので回答率も67%の高率です)。やっぱりデータを取ってから話すこと、重要ですね。よく考えて見ると、「ヘタクソ」さんの発生率はいつの時代も同じはずです。どんなことにせよ、操作がラフだから気持ち悪くなるのであって、回生力があるなしの問題ではないですよね。フットブレーキのほうはもっと強くかかるんですから。

なお、吉田由美さんが、この機能はアクセルとブレーキの踏み間違え防止に効果があるかもしれないと述べています(https://www.webcartop.jp/2016/11/55872

ノート e-POWERでは完全停止まで回生を続ける(世界初でしょこれ?)

実は、ノート e-POWERには、テスラを上回っている利点もあります。このグラフで、減速Gがゼロになっているのがわかりますか。60キロからアクセルペダルを離すと、11秒後ぐらいにこのクルマは完全停止するのです。

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これは(v8.0の)テスラにもない特長で、本当にアクセルペダル戻しだけで止まれるんですね(注:強く止まる必要があるときはもちろんフットブレーキを使いますが、ごく普通の街乗りならあまり使わないで済む)。運動エネルギーは速度の2乗に比例しますから、停止間際の微速時の回生をしなくても、1%も変わりません。でも、根拠のないアジテーションすら受けないために、ニッサンのエンジニア、ここのことろ、がんばったのだと思います。う〜ん感動。お酒飲んで話したいな〜。

注意点は、制動灯(ブレーキランプ)点灯が早いので下手くそに見えるかもしれないこと [法改正」

ところで皆さん、テスラとかBMW i3の人の後ろで、煽った経験のある人いませんか。そんなイケナイあなたは、カーブのかなり手前でべったりブレーキランプ点灯するから「こいつ下手くそだな〜」と感じたかもしれません。テスラやBMW i3を乗っている人は、既存の車に乗り飽きるぐらい沢山のクルマを乗り継いだ人が多いので、エンジンブレーキを利用して走らない(ような運転技術がない)人は少ないはずですが、こんな心理面の葛藤がいま水面下で生じているのです。

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これは実は、2011年1月30日以降に販売される車両においては、回生ブレーキを用いて減速する場合は、1.3m/s2以上(≒0.13G以上)の減速Gでは必ず点灯する義務が生じたからなのです(リンク)。だから例えばテスラ・ロードスターは(古いので)点灯しませんが、その後のものはすべて0.13G以上で点灯します。ですから「ノート e-POWER」でも以下の赤く塗ったところで点灯します。

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0.13Gというのは、そんなに強い値ではないので、後ろの人から見ると、「運転に慣れてないない人がエンジンブレーキ使わないで、フットブレーキばかり使っている」ようにも見えます。0.2Gぐらいなら違和感ないのですが、これは国際基準から来ているのでしかたがありません。ま、これも、EVが広がっていくとだんだんお互いに認知されていくのでしょう(了)。

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