▼SpaceX社のロケットが「洋上」に着陸した意義
2018/01/03
SpaceX社のロケット、Falcon9の1段目が、とうとう「洋上」で着陸することに(回収に)成功しました。
このロケットの製造コストはジャンボジェット(ボーイング747)1台分ぐらいになるそうです(引用元)。従来のロケットは使い捨てで、その多くのコストが大きな1段目にかかっています。従ってこれを回収して再利用できれば、ロケットの打ち上げ費用が飛躍的に安くなるとされています。
先日(2015年12月24日)には、陸上への着陸(回収)に初めて成功して、大きなニュースとなりました(動画)が、今回は、洋上の船の上に着陸することに成功しました。このことが大きく報じられているのですが、なぜ「洋上」であることが「陸上」に較べてより重要なのか、があまり説明されていないようです。
私も詳しくはないのですが、この説明図も参考に考えると以下のようです。
ロケットは、地球の自転速度も利用して速度を得ますので、東の方向へ打ち上げられます。地球を回るために必要な最低速度は秒速8km。この速度を達成するわけですから、打ち上げ後あっという間に音速(秒速340m=秒速0.34km)も超えて、どんどん発射地点から遠ざかります。そうすると、もう陸の上にはいないのです。
もし陸の上に着陸できるならば、固定した地盤ですからより容易ですが、しかし一方で「打ち上げ地点に戻ってくる(Uターンする)」ことをすることになりますから、相当余分な燃料が必要になります。ですからもし、Uターンせずに、辿ったコースの延長上に素直に大気圏再突入して減速し、落下する地点付近で船が待っていて、そこに着陸することが出来るなら大幅に燃料コストを削減できます。だから洋上に着陸する技術を確立しようとしているわけです。
下の動画を見ても分かりますし、容易に想像できる通り、船は揺れますからよりハードルが高いはずです。しかしそれを今回達成できたので、大きな意義があるわけです。このFalcon 9の1段目ロケットは、2日ぐらい後に船に乗って戻ってきます。回収後、調べて異常がなければ、2ヶ月ほどで再利用されて再度打ち上げされるようです。もしその取り組みが達成され、かつ繰り返しができるようになれば、宇宙へ行くコストが大幅に下がります。
そして、最終的には、イーロン・マスク氏が目標としている火星への人類の送り込みに現実味がでてきます。もともとそのように目標をたてて実行し、何回かの失敗も経ながら確実にモノにしているので、本当にすごいことだと思います。
なお、着陸用の船は、以前は “Just Read the Instructions”(まずトリセツを読んでよ)号 という風変わりな名前のものでしたが、(この間失敗したからかもしれませんが)今回は2隻目の新しい船 ー ”Of Course I Still Love You”(もちろんまだ君を愛している)号 に代が変わっているようです(出典)。その名付けのとおり、本当に愛すべき船になりました。
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