放射線科医・MRI専門家の高原太郎個人ブログ

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地震とエコノミークラス症候群(肺塞栓症)

      2017/04/24

エコノミークラス症候群→肺塞栓症(はいそくせんしょう)

28人もの方が、肺塞栓症になられたそうです。うち2人は亡くなったとのことこで心よりお悔やみを申し上げます。

みなさんは「エコノミークラス症候群」についてはご存知と思いますが、ごく簡単にこの病気の機序(起こり方)を説明します。

・同じ姿勢等で大腿や下腿(かたい=膝より下の足)の血流が停滞
・そこに血栓ができる
・再び歩き出すときにその場所の血流が再開し、血栓がはがれる
・血栓が流れていき、大腿→体→心臓(右心房、右心室)に入る
・ここまではだんだん血管が太くなるので血栓はスムースに流れる
・肺中では、逆に血管が分岐して細くなっていく(ガス交換のため)
・最終的に、細くなる一方の肺血管のどこかに血栓が詰まる
・肺でガス交換ができなくなる
(酸素は来るけれど、酸素をのせるべき血液が来ない)
・これを肺塞栓(はいそくせん)という。
・「血栓」と言わず「塞栓」と呼ぶのは、血栓が流れてきて詰まったこと(その場所で出来たのではないこと)を示すことば。
・結果的に低酸素血症になる。重症の場合は死亡する

ということです。予防法としては
1) 足を定期的に動かす(血流をとめないように)
2) 下腿をなるべく高い位置に保つ(血流をとめないように=でもこれができないのが狭い車内)
3) 脱水は病気の確率をあげるので、なるべくこまめに水を摂る(=でもこれは地震の時は難しい)
4) 弾性ストッキングをする(足のむくみをとって、血流を心臓に戻しやすくする=これも地震のときの入手が難しい)

ですね。2人以上のひとがいるなら、お互いにマッサージをすることも効果的だと思います。クルマの中には、ペットボトル数本を常備しておきたいですね。

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