側溝に落ち、幸せを感じました。
2018/11/08
昨晩のことです。会議を終えビルの外に出た私は、たまたま工事中で街灯のない真っ暗な通路を通り、仮置きの駐車場まで来ました。
駐車してあった知人の車に乗せてもらおうとして、トランクに2つのカバンを入れようとしたその時です。
「あっ、ここは危ないから!!」という知人の声を聞いたか聞かないか、、、
車の背後に回ろうとした瞬間、左足を踏み外し真下に落下してしまいました。
・・・ドカーン!
暗闇の中で側溝に落ちた
あとでわかったのですが、仮置き用の駐車場(別の所有者のもので、敷地の高さが異なる)との境界にはまだ柵がなく、その脇に側溝もあったのです。
翌日の昼間に撮影してもらった写真がこれです。高さは隣地の高さ+側溝を合わせて1.5メートルあるそうです。この一番下の、ドブになっているところまで落ちました。
JRのホームの高さが約1m(90-110cm)、また新幹線のホームの高さが1.25mだそうです。それよりもさらに深いところまで、真っ暗闇の中、足を踏み外したことになります。
右手に持っていた2つのカバン(リュックと、キャリーバック)が逆さまになって降ってきました。
不意打ちのショック
突然落下した、ものすごいショック。
身体中が痛い。
知人が大声を上げて、他の人を呼びに走っていくのが見えました。
痛ててて・・・
しかし幸運なことに、後頭部を打つことはなく、尻もちはつきましたが、立ち上がることができました。
(あとで分かりましたが、お尻はドブの中に浸かったので濡れましたが、背中や頭は濡れていませんでした)
大切なPCが・・
正気に戻ると、リュックが、逆さまになって水の中に入っています。
悲鳴!! 大切なPCが入っているんです。
焦って手に取り、カバンを開けてPCを確認すると、ディスプレイが点灯しました。ああ、良かった・・・バックアップは自動でほぼ毎日とれていますが、壊れると時間とお金がかかるところでした。
ベルトが側溝のエッジに当たったらしく、革が深く切れてダメになりましたが、これは身体が傷つくのを防いでくれる効果もあったようです。
直撃なら、皮膚がこのようにめくれることを想像すると怖いですね。
しばらくの後、建物に戻ることができ、苔で緑色に汚れた下着を着替え、このあと会食に行くことができました。
映画007で出てくるるジェームス・ボンド、満身創痍でも次の行動に移れるのがカッコ良いと憧れていることもあり笑、「この程度の痛みは007なら平気平気」と唱えながら行きました (^^)
iPhoneが水没していた
きっと外傷性ショックのような状態だったのでしょう。
レストランについたころには40分ほど経過していましたが、そのときになってはじめて、携帯がないことに気づきました。
リュックの上のポケットに入れた記憶があります。
あのときリュックが逆さまに・・・はっと気づきました。
恐らくポケットから飛びでてしまい、ドブに落ちているのです💦
すぐに連絡してチェックをしてもらったところ、ドブの中に水没しているiPhoneが発見されました。
今までならばもう時すでに遅し・・ですよね。友人の携帯がトイレに落ちてしまった話などは良く聞いています。
ところが、たまたま落とした携帯は、昨年買ったばかりのiPhone X(テン)でした。IP67と呼ばれる防水性能を持っており、調べてみると水深1mのところで30分迄大丈夫とのこと。
果たして・・・iPhoneは全く問題なく起動しました。防水の大切さを知ることになりました。
DWIBSを撮影、陽性所見だった
身体の節々が痛いのですが、主に、右臀部、右膝、左肘、そして左胸壁です。
このうち左胸壁はかなり痛い。翌朝に痛みが増すことはなかったので、多分肋骨骨折はしていないと思うけれど、これだけ症状があるなら、DWIBS(ドゥイブス)で写るかもしれないと思いました。
DWIBS(ドゥイブス)は、ふつうは、癌の診断に用いられます。
しかし、DWIBSが外傷のときに、とくに肋骨骨折に、ものすごい威力を発揮することは良く知られていません。
信じられないかもしれませんが、CTよりも遥かに鋭敏に、わかりやすく病変を表示します。
何故かと言うと、CTでは骨折線(線自体はミリ単位)を探さなくてはならないのに比較して、DWIBSは、そこに生じた水分の上昇(1〜数センチ単位)を見つければ良いことによります。
大きく目立って表示されるので、圧倒的に損傷部位を見つける時間が短いのです。
行なってみると・・・
このように、強打した左前胸壁に異常信号を認めました。
ここからは専門的になりますが、b=0の元画像では、肋骨には信号上昇はなく、周囲の肋間筋や皮下脂肪が高信号を呈しています。つまり、肋骨骨折はなく、周囲の血腫もしくは筋損傷が生じている事がわかりました。
自分の症状の強さと、画像所見の呼応を経験することは、画像診断医にとって、非常に良い経験となります。とても納得がいく検査結果でした。
(医学画像関係のみなさんへ:mDIXONのFS-T2WIも撮ってもらいましたが、この所見は描出されませんでした。SE T2WIに勝る、SS-EPI T2WIの優れたT2延長病変検出能の賜物と言えます)
幸運だった、うれしかった
生じたことは、一見、運がないことのようにも思えます。
しかし私には、うれしいことの連続が訪れました。
第一に、暗闇の中あんな落差を落ちたのに、骨折も頭部損傷もありませんでした。今までなら身体を守る咄嗟の動きはできなかったことと思いますが、日頃から体幹トレーニングをしていた成果で守れたのではないかと思いました。これが本当にうれしい。
第二に、携帯が40分も水没していたのに、まるでなんとも無かったことです。もし防水でなければ、後につづく手続きは相当に手間がかかったことでしょう。連絡が取りにくくなり、仕事に支障をきたすはずです。これが生じなかったのは、本当にラッキーでした。
第三に、DWIBSで所見があったことです。「この痛さなら所見がでるかも、でも骨折はしてなさそう」と思い、撮影してみるとまさにピッタリと病変が検出され、かつ、肋骨骨折もありませんでした。画像診断医冥利に尽きるうれしさでした。
そのほか、大切にしている時計も、まったく傷ついていませんでしたし、パンツも、一枚はしっかり、換えがあったのです!(まぁそれは強調しなくてもいいか)。
神様に守っていただいている、と感じました。心からご加護に感謝し、明日もしっかり仕事をしようと思います。
「05 課外活動, 08 MRI・医学, 51 一般, 80 DWIBS, 82 MRI」カテゴリーの人気記事
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