父から子へのメッセージ 赤面症 2015年6月2日
2018/01/03
50歳を過ぎた最近は、少しぐらいのことでは動揺しなくなりましたが、若い時にはいろいろと思い悩むことも経験しました。
そのなかで、かなり困ってきたことが、赤面症、つまり顔が赤くなることです。
それは、小学校の高学年の時に初めて起こりました。学級委員を選ぶときになりました。
お父さんが小学校に通っていた時は、学級委員は、クラスメートひとりひとりが、「学級委員として相応しい(ふさわしい)人」を紙に書いて投票し、それを開票しながら、黒板に「正」の字を書いて、一番多かった人に学級委員になってもらうという制度でした。お父さんは以前学級委員になったことがあり、慣れていたのですが、ちょうどもうすこしで開票が終わるという時に、机の上から鉛筆が転がり落ちたのです。
その鉛筆を、座ったまま拾おうとして力んでいたときに、ちょうど、開票が終わって、「では学級委員は高原くん」と言われました。下を向いて力んだからでしょうか、みんなの拍手を受けて立ち上がるときに、なぜか顔がものすごく火照りました。真っ赤になったことが、鏡を見なくても自分でわかりました。友人からも「真っ赤になってる」と言われ、耳のところまで真っ赤になったのです。とても恥ずかしかったです。
幸いに、友達にはあまり冷やかされることもなく、そのときは事なきを得ましたが、それ以来、なぜか、ちょっとしたことで顔が赤くなるようになりました。授業中に、先生が真面目に女の子と男の子の違いを話すだけで、「あ、まずい」となり、次の瞬間からどんどん顔が熱くなります。意識するとさらに熱くなり、また赤くなったことがわかるので、手を開いて両手で頬杖をついたようにして、必死に隠しました。こうしてなんとか過ごしていたことを思い出します。
中学に進んでもやはり同じだったのですが、当時、クラスメートに、もっと赤くなる子がいました。その子は友人の冷やかしの格好の標的となっていて、「赤いぞ赤いぞ」と言われては、もっと赤くなることを繰り返していました。その時に実は自分も赤くなるのですが、みんながその子に注目するので、自分はあまり気付かれなかったようです。
だんだんと、赤くなる頻度は減ったのですが、大学生になっても、ひょんなことから、とくに異性の話になると、真っ赤になることがあり、本当に困りました。「誰かに気づかれたら冷やかされる」そう思って緊張をしました。たまには気づかれて、「あ、赤い」といわれたのですが、わりと良い友人に囲まれていて、そんなに冷やかさないでいてくれたので、ほっとしたことが多いです。
そういう自分がいま、沢山の人前で話すことがなんともなくなったのは、不思議なことだなぁと思います。50歳を過ぎた今でも、「赤くなるかも」と連想することはなくもありません。
私はこういった経験からいくつかのことを感じます。
ひとつは、あまり冷やかさないでいてくれる友人がいたから、早く「治る」ことができました。これはとても感謝しています。誰しも、人には言いにくい身体の悩みがあるものだと思います。そのときに、やさしく見守ることは大切だなと思います。
もうひとつ重要なことは、中学時代に冷やかされていた友達をみたとき、「自分もそうなんだ」と打ち明けられなかったことを、今でも悪かったなと感じていることです。そのときは、自分のことに精一杯で、それどころではなかったのですが、彼の恥ずかしい気持ちは、痛いほどよくわかります。彼もいまではなんともなくなっているのかもしれませんが、また会うことがあったら、聞いてみたいと思っています。
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