放射線科医・MRI専門家の高原太郎個人ブログ

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リーフは実航続距離240キロ、基本的に買いでOK!

      2018/01/02

日産リーフが発表され、10月から販売されることになりました。さっそく、銀座日産ショールームに行って見てきたのでレポートします。

気になる実航続距離は240キロ

新しいリーフは、40kWhという容量の電池を搭載しています(従来の上位機種は30kWh)。400キロ走行可能と表示されていますが、実際には以下のとおり240kmと考えられます。他車種とも併せて表示しますね。

今回、電池容量は従来の上位機種(30kWh)より33パーセント増えましたが、価格は20パーセントほど安くなっています。バッテリー1kWhあたり10万円を切ったということになります。

バッテリー容量 /モーター出力 日本基準表示(JC08) 米国基準表示(EPA*) 欧州基準表示(NEDC*) 価格
新型リーフ 40kWh / 110kW 400km 150miles*
(新基準)(240km)
378km  315〜399万円 (7.88万円/kWh)(1.31万円/実航続可能距離km)
(さらに国からの購入助成金 ▲40万円)
従来リーフ 30kWh / 85kW 280km  107miles*
(新基準)
(172km)
250km  401〜456万円(13.4万円/kWh)(2.33万円/実航続可能距離km)(30kWhモデルの価格レンジ)
テスラ・モデル3(Basic Model)
[国内未販売=2019年に一部納車開始予定。今からの注文は確実に2020年以降]
50kWh
(推定値)/ **kW
(不明)
[換算値]
550km
220miles
(新基準)
(354km)
 [換算値]
510km
米国実売価格
$35,000
日本予想価格
448万円(8.96万円/kWh)(1.26万円/実航続可能距離km)([1$ 128円換算で]
テスラ・モデルS (100D)[現時点での世界最長航続距離モデル] 100kWh
( 公表値)/ 400kW
(推定値)
 [換算値]
707km
335miles
(新基準)
(536km)
 632 km 米国実売価格$94,000
日本実売価格
12,038,000円
[輸入に伴うコストと為替変動リスクを併せ、現状は1$=128円で換算されている]

 

JC08* つい最近までの日本の表示。ガソリン車でも電気自動車でも、この値に6〜7がけしたぐらいが実走行距離になります。日本基準は非常に甘く、これを基にテスラモデルS 100Dの航続距離を換算表示すると700km余りとなることからもわかると思います。

EPA* 米国基準の表示。エアコンをつけて走行できる距離の目安。この距離はごく普通に達成可能な数値であり、購入時にもっとも信頼出来る目安(実走行距離)です。マイルで表示されています。1mile = 1.6km。EPA: 米国環境保護庁 (Environmental Protection Agency)

NEDC* 欧州基準の表示。JC08よりは短く表示されます。テスラは欧州でホモロゲーションをとったものを日本に持ち込んでいるため、これで表示されていますが、本国(米国)のEPAで見ると実走行距離がわかります。NEDC :New European Driving Cycle

 

240キロというと、「なんだまだそれだけか」という印象を持つ方も多いと思いますが、これだけあると、例えば東京〜箱根(片道86キロ)を無充電で往復できることになります。

福岡〜熊本(片道113キロ)も概ね無充電で往復可能。

240キロ彼方まで行けるので、東京→軽井沢は余裕で行けます。

また途中30分充電すると、300キロは何の問題もありません(下図運転時間をみてください。通常は30分の休憩はすると思いますので、行程に影響を与えません)。

こういった旅行を計画する場合、目的地の宿のクオリティが少し高ければ、いまは相当の確率で充電器があります。そういったお宿に宿泊すれば、翌朝はほぼ満タンで出かけられることになるのです*。東京〜日本海側や、

大阪〜金沢、

大阪〜松山など、具体的な目的地を見ると、俄然行きたくなるのではないでしょうか。電気自動車の旅は、それ自体が高揚するものもあります。

また札幌〜釧路も同様の距離で、急速充電ポイントもこのようにたくさん整備されていますので、リーフのレンタカーでの移動もアリ!ということになります。

* 200V 16Aの充電設備が多くあります。1時間あたり200 x 16 (÷1000)= 3.2kWh入るので、午後5時到着、午前8時出発(15時間)のときは、48kWh分になります(実際には充電効率が100%ではないので、40kWh程度入ることと思います。つまりゼロで到着しても満タンになるということです)。

●充電施設のあるお宿を選ぶ

いままで、航続距離の短さから、EVで長距離旅行をするリーフ乗りの人は割とまれでした。ですから宿泊施設で充電するEVは航続距離が長いテスラが相対的に多かったのですが、これからは、リーフでの旅行はかなり現実的になります。新型の航続距離はそういったインパクトがあるのです。宿泊施設も、これまでは充電器が閑古鳥がないていましたが、これからは稼働率が上がると思われます。

外観は◯。安心して購入して良い

デザインは好みがありますが、私は個人的に自分の見立てには自信を持っています。このデザインは、非常に多くの人に受け入れられることでしょう。全体的には既視感が強いという人もありますが、このジャンルの車は、むしろそのほうが購入できます。

またいくつかの視点からは「カッコいい」「新しい」と感じる部分もあります。そして、ネガティブな点がありません。ですからこの車が不人気になる事はありません。今までデザインが気になってリーフをの購入を躊躇していた人は飛びついてもOKです。ただし、次項のバッテリー劣化についてはきちんと確認してから購入すべきだと思います。

フロントは少し腰高感がありますが、少し上方から見下げると見栄えがします。

リア周りは、リアウインドウとリアコンビネーションランプの融合部分のデザインはよく出来ています。

ちなみに、電気自動車なので、アンダーパネルは真っ平らで、抵抗が少なく、リフトも押さえられます。ガソリン車も最近はドイツ車も中心に相当がんばっているのですが、EVにはかないません。

サイドのデザインは実はかなりフラットな感じで、とくにフロントドアは眠たい感じです。次のマイナーチェンジに取ってあるのかもしれません。

バッテリー劣化は保証が良くなった。

バッテリーは、今回8年16万キロを保証するようになりました。「保証」の対象となる劣化具合がどの程度か(どの程度劣化したら保証してくれるのか)が問題ですが、日産銀座ショールームの人のお話では、もとの充電容量の80%とのことでした。

今回のリーフのインパネには電池が%表示されています。

【写真挿入予定】

その後に更新された日産のホームページには以下のような表記があります。

「本保証は、「40kWh駆動用バッテリー搭載車」の場合。正常な使用条件下において新車登録から8年間または160,000kmまでのどちらか早い方において、アドバンスドドライブアシストディスプレイのリチウムイオンバッテリー容量計が9セグメントを割り込んだ(=8セグメントになった)場合に、修理や部品交換を行い9セグメント以上へ復帰することを保証しています。」

これは現在のところ、約70%と考えられているようです(240×0.7= 168km)。

では劣化の程度、速度はいかがでしょうか。実は今回の40kWhバッテリーは、水冷化はなさなかったそうです。つまり空冷です。空冷と水冷では、前者のほうが冷却性能に劣ります。また寒冷地におけるオーバークールにどうやって対処するのかも聞きたいところです。

テスラの場合は、私のブログで解説しているとおり、電池の間に冷却液が回っていて(リンク)、常にオーバーヒートしないようにしています。これが、テスラのバッテリーが劣化しない非常に重要な工夫となっているようです。どの程度なのかは(リンク)を御覧ください。

今回のリーフが空冷であることにより、劣化は、テスラのそれよりもきっと速い速度であると思います。しかしメーカーが8年16万キロ(で70%以上)を保証しているなら、それほど悪くないと思います(繰り返しますが、その点はよく確認して購入して下さい)。因みに今回、充電のときの方法を見直して、劣化を防いでいるということでした。どの程度の工夫なのか、詳細は不明ですが日刊自動車新聞ではそのように報道されています。

e-Pedalは素晴らしい

ノートに始まった「停止までできる強い回生ブレーキ」は、e-Pedalと名付けられました。これは非常に良いシステムです。一部の評論家はトヨタ方式が良いとしていますが、実は以下の表のようなものであり、日産の優位は全くゆるぎません。

青=最高、薄い青=次に良好、赤=良くない

回生の強さ 完全停止 ブレーキペダルの踏み変え(運転時) 機構の複雑さ(コスト)
日産リーフ
e-Pedal
強い(減速Gは0.2G程度) する(最後までアクセルペダルだけで泊まれる) ほぼ不要 単純(安い)
テスラ より強い(減速Gは0.25G程度) しない(最後はブレーキペダルを踏むことが多い) ほぼ不要 単純(安い)
プリウス 弱い しない(ブレーキペダルを常に頻用する) 必要 複雑(高い)回生ブレーキと従来の機械ブレーキの協調制御が必要

 

以前テスラユーザーに、使用している回生の強さ(強い・弱いが選べる)をアンケートした(リンク)ところ、実に96%の人が強い回生を選んでいます。つまり「弱い回生+ブレーキペダル踏み変えによる回生」、はその機構の複雑さもあいまって、最新のソリューションではなくなったたと言えます。

また、一部の評論家が、プリウスなどの滑走感の追求が効率が良いと述べていますが、リーフで中立位置にペダルを置いた時に、プリウスより明らかに有利だという定量値を示していませんのでただの個人的な印象ですし、どちらが良いかは実験しないと分からないぐらいの差でしか無いことは明白です。むしろシステムが複雑で重くなるデメリットを考えたら、シンプルで便利な解決法を示しているリーフが勝っている可能性も十分あります。ちなみにこれは、テスラが始めたシステムであることは述べておきたいと思います。

e-Pedalは、今回、敢えて「ボタン」として配置されていて、いかにもそれが特別な機能であるかのような演出をしています。OFFにすると、オートマ車並みの弱い回生+通常のフットブレーキ(熱量損失)になります。初心者はここから入りたい人もいるかもしれません。

↓青い「e-Pedal」のボタン。その右にあるのがフルオートで駐車するためのボタン

●そのほか自動駐車や、自動運転も

また、今度のリーフには、完全自動駐車モードもつきました。上記の右端のボタンを押すと、全く何も触らずに完全停止、パーキングブレーキまで行います。これはテスラと同じになったということです。プリウスの自動駐車システムは、途中で人間が確認を促されるのですが、そういった必要がなくなりました。

また自動運転(プロパイロット)がつきました。テスラほど自由にさせてはくれませんが、これがあると相当に楽になります。ゴルフや行楽などをしたあとの帰り道は居眠り運転の危険がありますが、この機能があることにより、事故を未然に防いでくれることでしょう。また長距離運転の際に相当な恩恵があります。

テスラ・モデル3は

テスラ・モデル3は、新しくなったリーフと比べてもなお、うんと航続距離が長く、実用的です。ただし価格はボトムレンジでも35000ドルで、これは現在のテスラジャパンの価格レートに直すと448万円ですから、400万円を大きく超える可能性が高いです(為替により大きく変わりますので、想像よりも安くなる可能性はあります)。上記の試算では、実航続距離kmあたりの価格は同じです。

最初にオーダーした人が、ようやく2年後の2019年に納車が開始になる予定で、これからオーダーする場合は2020年以降の納車になることはほぼ間違いありません(予約金15万円=返金可能な予約金なので、「興味がある」なら、とにかくすぐ予約を)。ですからまだ3年もあります。

そのことを考えると、モデル3のために待つという選択肢は現実的ではなく、EVに乗りたい人は、(モデル3は予約しておいて)このリーフを乗っても、損はないと思われます(ある程度の損失はあるでしょうが、先に3年乗れるという意味も考えて)。

そこまでしなくてもいいよという人は、あと3年ぐらい経って、よりポピュラーになってから購入を考えるという選択肢もありそうです。そのときに、リーフも60kWhの水冷バッテリーを搭載するかもしれません。

 - 04 EV・テスラ, 42 テスラ, 43 EV

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