脳梗塞に対する画期的治療薬を発見!新潟大学
2017/04/24
新潟大学からプレスリリースがでていますので分かりやすく解説します。
「新潟大学の研究者グループは,脳梗塞治療で最も有効とされる血栓溶解療法の弱点とされる合併症(脳出 血・脳浮腫)を引き起こすタンパク質を特定し治療法を開発しました。その研究成果は,Brain 誌(Brain: A Jornal of Neurology, 5YEAR IMPACT FACTOR 10.846)に掲載されます。」
研究グループ:新潟大学脳研究所(所長・西澤 正豊教授)神経内科の下畑 享良(しもはた たかよし)准教授を中心とする研究グループ(金澤雅人助教,川村邦雄医師,高橋哲哉助教ら)
Pubmed にはまだ掲載されていないようです。4人の名前による検索結果。
どういう方法か
- t-PA
- 従来画期的とよばれていた、t-PA(ティーピーエー;組織プラスミノーゲンアクティベーダー;tssue Plasminogen Activator)は血栓を溶かしてくれる。
- ただし、脳組織が完全に死んだ後に、血栓を溶解すると、死んだ組織に大量の血液が流れる結果、大出血を起こして死に至る
- だから、投与するなら可能な限り早く投与。4.5時間以内が鉄則
- 新薬(プログラニュリン)
- 欠乏すると認知症を引き起こす「プログラニュリン」というタンパクを投与。
- t-PAに加えて投与する。
- 脳出血・脳浮腫を予防できる(「脳梗塞」解説を参照)
- 投与限界:従来4.5時間以内→8時間ぐらいまで投与できそう(病院到着時刻の統計からは、患者数として従来比3倍ぐらいが対象になりそう)。
- 脳梗塞に至る体積も縮小できる
【解説】脳梗塞(Cerebral Infarction)
- どんな病気か
- 脳動脈に血の塊(血栓・塞栓)が詰まるなどして、血流が絶たれたために脳組織が死に陥ること。
- 脳動脈自体が動脈硬化で細くなり、そこに血栓ができる場合(脳血栓症)
- 心臓などに血栓ができて、それが脳動脈まで飛んでいって詰まる場合(脳塞栓症)
- 死んだ脳組織
- その部分の機能を喪失する(これはあたりまえ)
- そこから大出血を起こす(死に至る)
- 腫れてしまって周りの組織を圧迫壊死に陥らせる(より重篤になる)
- 従来の治療法
- 脳の腫れをとる薬を投与する
- 原因となっている血の塊を取り除く(遅れて行うと大出血をするので、治療可能時間が限られる)
- 薬で取り除く→従来画期的とよばれていた t-PA(ティー・ピーエー)を投与する。
- カテーテルで取り除く
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