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放射線科医・MRI専門家の高原太郎個人ブログ

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DWIBS法(ドゥイブス法)ー MRIで癌の発見・経過観察をする方法(解説ページ)

 はじめてご覧になる方へーDWIBS法(ドゥイブス法)の概要

この検査はDWIBS(ドゥイブス)法、といいます。MRIを用いて、癌の分布を調べる方法です。癌の発見だけでなく、経過観察にとても優れた方法です。2020年までに誰でもどの地域でも受けられるようにという目標を掲げ努力を続けています。

患者さんからみた特長

患者さんからみた特長として、以下のように多くの点が挙げられます。

  • 被曝なし(MRI検査なので何度受けても被曝はゼロです。がんが完治したあとにも、放射線の晩期影響を心配しなくてすみます)
  • 痛みなし(針を刺す検査ではありません。癌で痩せた方でも、何度も刺される苦しみを受けることなく検査を受けられます)
  • 造影剤なし(造影剤を用いないので、アレルギー体質の方、腎不全の方でも検査を受けられます。糖尿病の方でも大丈夫。)
  • 事前安静なし(病院に来てすぐに検査できます。だから来院ー帰宅までの時間がとても短くて済みます)
  • 安価(FDG-PETの1/6程度の値段でできます。造影剤も使わないので、場合によっては造影CTよりも安価です。一般的な患者負担(3割)では7,000円程度の支払いで済むことが多いです)

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私の思い

私は数年前に父を進行がんで亡くしました。そのときに、だんだんとやせ細っていく父が、造影CTを受けるたびに、なかなか注射針が刺さらず、何度も刺されてしまうのを見て、本当に気の毒になりました。

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私は医師で、かつ小児科勤務をしていた経験があるので、私自身はどんなに細い血管でも刺す技能があります。しかし病院では役割分担があり、すべて自分でやるというのはわがままなことです。担当の研修医にお願いすることは、医学の発展のため、医師の技能の育成のために必要です。そう頭では分かっていても、肉親としては、涙を禁じえませんでした。ある日は造影剤が漏れてしまったこともあり、癌でつらいだけでなく、何日も痛い思いをするのです。

父の場合、経過観察のほとんどはこのDWIBS(ドゥイブス)法で行いましたから、そのときは、ただ寝ているだけで済みました。造影CTは、従来の癌の経過観察での標準方法*では必須です。このため「造影CTを受けない」選択は医学人の一人としてやはりできませんでしたが、DWIBS法でほとんどを代行することにより、必要最小限にできたのは幸いなことでした。以下は父の生前の画像(DWIBS法)です**。

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*(RECIST=レシストクライテリアといいます)
** 医学的にこの画像をみると、抗がん剤を打ったわずか1週間後に効果が現れていることがわかります。腫瘍の大きさはあまり変わっていませんが、薄くなっていることからわかるのです。サイズが小さくなる前に、効果の良し悪しを判定できるのは、実は驚異的なことです。造影CTでは一般に1ヶ月ぐらい立たないと評価ができないとされています。がんの画像診断で有名なFDG-PETでもこのように早期診断できることがわかっています。(しかし、PETは6倍の値段なので、すぐに繰り返し撮影をすることは許されていません。)

 

造影CTを自ら受けた経験のある医師は、そう多くはありません。だから、多くの医師にとって、検査オーダーをするときに造影CTを受けることがどんな気持ちなのかを実体験として想像できないという構造的な問題があります。私は以前満で、胆石を発症し、胆嚢摘出術を受けましたが、その際に2度造影CTを受けました。造影剤が入ると、身体がかっと熱くなります。それは気持ちの良いものでは決してありません。

逆に、「それほどひどいものでもない(そんなに心配しなくても良い)」ともいえます。これは本当です。しかし癌に罹患して、病状が思わしくないときにはどうでしょうか。

健康体の人と、病状が重い人では感じ方が違うはずです。また癌の患者さんは、同じ検査を繰り返し繰り返し受けることになります。医師が検査オーダーするときには「1回で針が刺さる」こととを想定していますが、実際には、何度も刺されたり、ひどいときには漏れたりするのです。嫌になりますよね。つらいですよね。

いま、厚生労働省の発表では、あなたが生涯に癌になる確率は、男性ならなんと62%、女性では45%です。「がんにならずに済もう」という考えが成立しないぐらいの高頻度です。そして、ひとたび癌と診断されたら治療をして完治しても、残念ながらしばらく病気と付き合うことになっても、その後は再発のチェック、治療効果のチェックをしなくてはなりません。そのときに、繰り返し検査の必要がでます。そのときに、まずDWIBS法で検査をしておいて、病気が再燃したときに、造影等を行って精密検査に臨むという様式にできます。

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一般の方へ

●パンフレット 以下の2つを御覧ください。
– DWIBS法とPETとの違いなど(光生会病院資料)

スクリーンショット 2015-08-22 9.28.37 – 最新の画像診断でがん治療がかわる(ドクターズキャリアWebページ)

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より詳しく知りたい方へ

●動画説明 DWIBS法の概要について、30分あまりの動画を公開しました(2016/1/3)
10秒ほどで音声がでます。

検査を受けるには

DWIBS法は、まだ施行している病院は少ないですが、以下の3つについては、ルーチンでの高品質検査と、読影体制が整っています。今後、だんだんと増える予定です。


 

●八重洲クリニック(東京)[リンク]

BodyDWI研究会の代表世話人である私が読影を主に担当しています。読影医が足りませんでしたが、最近3人体制となり層が厚くなりました。検査内容については十分に組み立ててあります。ただし、このクリニックは検査センターですので、DWIBSを目的に、直接受診することはできません。お近くの病院でDWIBS検査を受けたい旨伝えていただき、紹介してもらってください(予約電話番号 0120-786-055、検査名「全身の拡散強調画像」もしくは「DWIBS(ドゥイブス)検査」)。八重洲クリニックでは検査のみを行い、読影レポートを紹介病院もしくはご自宅に返送します。


 

●熊本中央病院(熊本市)

BodyDWI研究会の副代表世話人である片平和博先生も読影を担当しています。同様に検査内容については十分に組み立ててあります。熊本中央病院は、紹介受診制をとっていますので、かかりつけの医師に、熊本中央病院でのMRI検査(「躯幹部(くかんぶ)拡散強調画像」という依頼内容)を予約してもらってください。


 

●すずかけセントラル病院(浜松市)
BodyDWI研究会の代表世話人である私と、放射線治療医の境野晋二郎先生が読影を主に担当しています。胸部外科で院長の鈴木一也(かずや)先生が、本検査のよき理解者です。検査内容については十分に組み立ててあります。基本的にすずかけセントラル病院を受診し、MRI検査を予約してもらってください。

なおこの病院では、プレミアムドック(くりかえしがんドック)と呼ばれる、大変高品位のがん検診を行っております[リンク] 。このドックの受診者は、健康に関する質問などを直接医師とやりとりできますので、とてもこまやかなサポートができます。


 

●川崎幸病院(川崎市)

BodyDWI研究会の世話人である信澤宏先生が読影を主に担当しています。同様に検査内容については十分に組み立ててあります。川崎幸病院は、紹介受診制をとっていますので、かかりつけの医師に、川崎幸病院での「体幹部DWI検査」を予約してもらってください(胸部〜上腹部〜骨盤に至る範囲)。なお、消化管悪性腫瘍の場合は、上腹部〜骨盤のみをより詳細に撮影する「全腹部DWI検査」も行っています。同時に双方の検査を行うことはできません。検査予約は044-544-4638(地域医療連携室直通)までお願いいたします。

川崎幸病院地域医療連携室 http://saiwaihp.jp/cooper/medical.php

DWIBS法
(Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background Suppression; 背景抑制広範囲拡散強調画像) ー 科学的エビデンス

  • 2004年に、高原太郎・今井裕(東海大学/画像診断学教授)らによって発表されました(関連論文リストPDF)。
  • 2016年10月現在、最初の論文は877回引用されています(Google Scholar)。これを引用した論文は、1000回の被引用を超えているものが2つあります(リンク1リンク2
  • 被曝のないMRI装置で、30分ぐらいかけて撮影をします(全身の拡散強調画像(DWI))。
  • 安静や注射などの前処置は一切要りません。ただ、寝て撮影するだけです(検査前は食事は控えめに)。
  • がんのスクリーニングや、がんの拡がり診断、経過観察などに使用されています。
  • [NEWS] 前立腺がんの骨転移診断の標準放射線科レポート手法として、MET-RADS-Pと呼ばれる 概念が提唱されました (2016年10月)。

2004年5月3日毎日新聞朝刊一面(全国紙)

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DWIBS法を応用した 全身の末梢神経画像(世界初)が 米国雑誌に掲載されました。

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公開日:
最終更新日:2016/11/05