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放射線科医・MRI専門家の高原太郎個人ブログ

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▼クラッシャブル・ゾーン (Crushable Zone / Crumple Zone) – モデルSの事故から考える

   

最近、ドイツで、18歳のこどもが、父親のテスラ・モデルSを借用し、無謀な高速走行の後に畑に転落するという事故が発生しました。道路からフルスピードで逸脱した際に、25メートルも飛んでクラッシュし、記事によれば、その後、(どのように回転したかの詳細は分かりませんがリアも損傷しているため、おそらくフロントが落ちた後、タテ方向に前のめりに宙返りするように)一回転したと推定されています。

見るも無残なモデルSの写真が、この事故の衝撃の大きささを語っています。

スクリーンショット 2016-05-14 23.31.54
ところがこれだけの大事故にもかかわらず、5名の搭乗者は誰も死亡しませんでした。

スクリーンショット 2016-05-14 23.32.08 スクリーンショット 2016-05-14 23.32.35

下の写真を見るとわかりますが、フロントは完全に破壊されています。しかしキャビン(居室、グリーンハウス)の形状は保たれています。

スクリーンショット 2016-05-14 23.32.19

フロントの部分が完全に「潰れてくれた」=「変形しながら衝撃を吸収してくれた」ので、最悪の事態を避けることが出来たわけです。

一般に、車のフロントは、衝撃を受けた時に大きく変形して衝撃を少しでも吸収できるように設計されています。そして居室は逆に変形により生存スペースがなくならないように設計されています。

こういった、衝撃により変形し得る構造のことを「クラッシュすることができる(クラッシュの時に変形してくれる)」といった意味合いで、クラッシャブル・ゾーンと呼んでいます。クランプル・ゾーンとも呼びます。

車のフロントには普通エンジンがあります。このエンジンは大きな鉄の塊なので、実は困りもので、事故を起こした時に一切変形してくれません。エンジンの部分が凹まないのですから、その距離は、変形には使えなくて、そのぶんだけ衝撃が後ろに直達してしまいます。このためせめてもの工夫として、事故時にエンジンが下に落ちるように設計してあり、破壊力がなるべく居室を直撃しないように配慮されていますが、変形に邪魔な鉄の塊があるという物理的事実は動かせません。エンジンのような硬い構造物があると、守ってくれるような気がしますが、実は事故時にはそれが自分の身体にぶつかってくる恐ろしい凶器に変わるのです。

記事の中には、イーロンが話していたという例えが書かれています「それ(事故)は、高い飛び込み台から水面に飛び込むことと似ています。あなたは、プールが深い水で満たされていること(変形できる構造)を望むでしょうし、水の中に岩(エンジン)がないことも望むでしょう」

電気自動車には、フロント部分に大きな部品がありません。テスラではフロント・トランク(もしくはフランク)と呼ばれる空虚な部分があり、この脇を太い(変形可能な適切な硬さ(柔らかさ)に設計した)フレームが走っています。この部分が(デュアルモーター機種では存在する小さなモーターを除き)ほぼすべて変形してくれるので、テスラ・モデルSは「ぶっちぎり」の星5つ(もし星6つの段階があればそれに該当するとイーロンが言っていたほどの)の図抜けた被衝突安全性を持っています。

この英語の記事(タイトルは「Spectacular Tesla Model S crash after flying 82+ft in the air shows importance of a large crumple zone [Gallery]」となっていて、この重要性を解説しています。

なお、モデルSなど様々な車の衝突時の安全性をプロットし、左から悪い順に並べたグラフが下のものですが、モデルSは右端にあり、なおかつ、右端だけグラフがぐっとさがっているのがお分かりだと思います。他のどんな車と比べても、物理的にとびぬけて被衝突安全性が高いのです。エンジンがないということには、このような、きわめて重要な潜在的メリットもあるというわけです。

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以下の記事には、モデルSが、かつてない最高の安全性を獲得したということが書かれています。

Tesla Model S Scores Highest Ever in Federal Crash Tests

 

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